「広めよう、教育に資する主体的な学校事務を深めよう、教育活動を支える学校事務職員の役割を」

 本年度の研究大会は、支部と一体化した研究活動の活性化、埼玉のすべての会員の交流、課題の共有化を図る貴重な研修の場として設定しました。
 第1分科会は、本部研究担当による分科会です。3年間の継続研究の初年度として、これからの学校事務職員像を探る足がかりとなる現状分析と実践紹介を行います。第2分科会は西部支部が担当し、現在の学校が抱える課題の一つである「不害者対策」に関する報告をしていただきます。第3分科会は東部支部が担当し、社会が変化する中での学校事務職員の新たな役割を考察した上での「協働的ワークスタイル」を提案していただきます。以上のように、今年度は二つの分科会を支部に担当していただくことができました。また運営面では、全支部の協力をいただきながら、本部と支部が一体となって創りあげていく研究大会を目指します。
 学校を取り巻く状況は変化しています。私たちは増大する社会のニーズや改革への対応を前にし、これからの学校教育を支える事務とはどうあるべきかを、学校教育を支える自負と責任を持って考え直す必要があります。会員のみなさんにとって、この研究大会がそのきっかけとなれば幸いです。

 

 第1分科会

新しい時代の“学校”事務職員をめざして
−脱!縁の下の力持ち−
埼事研研究担当

 私たちは職務を遂行する上で、常に「子どもたちのためになるか?」を最優先に考えてきました。
 「‘学校”という場で、教育条件整備を通して、児童生徒の成長を支援し、その学びを保証する」という学校事務の目的は、いかなる時代においても変わらないものです。しかし、社会や学校のめまぐるしい変化に対応しながらこの目的を達成するためには、学校事務職員も従来のルーチンワークから企画・提案型への転換が求められています。
 未来を描くことはとても大切なことです。そのために、まずは現在の私たちの働く姿をもう一度見つめ直してみませんか。今回の研究では、様々な分野で活躍されている学校事務職員の方々を紹介させていただきます。会計や情報管理へ主体的に携わる方、地域との連携に関わっている方、エコロジー教育を支援している方等々、私たちの周りには頑張っている方たちがたくさんいます。その方たちが、どんな思いで仕事に取り組んでいるのか、何を大事にしているのか等を探ってみたいと思います。そして、あなた自身がこれからどんな仕事をしていくのか、そのために今、何をすべきなのか。あなたの思いや取り組みをお聞かせください。
 研究担当は、平成22年度に埼玉県で行われる関東地区学校事務研究大会も視野に入れ、継続した研究でテーマの深化を図ります。今年度はその研究基盤として、みなさんと共に、私たち自身のこと、そして私たちを取り巻く状況について協議し、今後の学校事務職員の方向性と課題を確認したいと考えています。そして3年後には、いわゆる「縁の下の力持ち」といった「職のイメージ」を再構築することを目指します。新しい時代の“学校”事務職員を想像し、創造していきませんか。一緒に“学校”事務職員の未来予想図を描きましょう。

 

第2分科会

これだけは知っておきたい学校における不審者対策
−もう一度考えてみませんか事務職員としてできること−
埼事研西部支部担当

 西部支部では、昨年度、事務研全体のテーマとして不審者対策を中心とした学校の危機管理について取り組んできました。昨年10月の管外視察では「埼玉県警察本部」を訪れ、警察本部の施設を見学して管理体制について研修をしました。また、今年2月の西部地区学校事務研究大会では、「学校事故発生−その時私たちは−(不審者侵入時に事務職員ができること)」をテーマに発表を行いました。昨年度の活動のまとめとして今回の分科会で提案や報告をいたします。
 2001年に、あの大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件が起こりました。この時は、残念ながら8名の尊い命が奪われてしまいました。また、2005年には大阪府寝屋川市の小学校で教職員殺傷事件がありました。学校で起こっている事件を調べてみると、犯罪の状況が深刻であることがわかります。警視庁が出している資料「平成19年犯罪情勢」によると、19年中に学校内で起こった犯罪件数は2 6,250件、そのうち20歳未満の子どもの被害件数は15,383件とあります。
 このような数値を見てわかるように、学校は決して安全な場所ではなくなり、危機管理が重要な課題であるといえます。
 危機管理は学校全体で取り組まなくてはならない問題ですが、受付等で最初に不審者に遭遇する可能性が高いのは、事務職員です。本当に不害者が侵入した時、私たち事務職員はどのようなことをすべきか、何かできるのかわかっているでしょうか。児童生徒や教職員の命、そして自分の命を守ることができるでしょうか。そのヒントを見つけてもらう一つの機会としてこの分科会にご参加ください。

 

第3分科会

真に必要とされる学校事務職員になるために
−社会は変わります!あなたは変われますか?−
埼事研東部支部担当

 埼玉に県費負担事務職員が誕生してから半世紀ほどが経過しました。近年、60年ぶりに教育基本法が改正され、ゆとり教育の見直しによる新しい学習指導要領の前倒し導入や文科省が提案する新しい学校運営の形態である学校支援地域本部の設置が始まる等、学校を取り巻く環境は大きく変化しています。その一方では、国の財政事情の悪化により、公務員数の削減、教育関連予算の削減等厳しい社会背景もあります。また、学校現場は、児童生徒及び社会の変容に対応できず多面的な問題を抱えて教職員に多忙態々疲弊態が広がっています。この困難で厳しい時代であるからこそ事務職員には、教育関係者や学校現場からは専門性を生かした学校経営を担うスタッフとして新たな役割が期待されています。また、そのための条件整備も全国的に進められています。しかしながら、「一人で仕事する」という従来のスタイルでは、これらの期待や役割に充分に応え、みなさんの待っている潜在能力を最大限に引き出すことは難しいと考えています。
 そこで、東部支部では、その解決方法をお互いに助け合いながら仕事をする「協働的ワークスタイル」に求め、有形(グループ化・組織化)・無形(ナレッジマネジメント)の両面から新たな学校事務モデルを追求してきました。事務職員がさらによい仕事ができて、より多くの方に喜んでもらえる新たなワークスタイルや私たち自身のそりがいや達成感を倍増させる方法を提案します。埼玉の学校事務職員の積年の課題であった研修制度や事務長制等の領域にも踏み込んだ提案です。